コ・クリエーションとは?新たな差別化としての手法を紹介
2023.4.3コ・クリエーションとは共創を意味する言葉です。ビジネスシーンでは顧客参加型のマーケティング施策として認識されています。政府や自治体と企業、参加者などの間で行われるテーマ共有型のセッションなどもコ・クリエーションの一つです。
本記事では、コ・クリエーションの概要や、具体的な実例について紹介しています。マーケティング施策を模索している人は、ぜひ記事内容をご確認ください。
目次
コ・クリエーションとは?
コ・クリエーションとは、ユーザーやステークスホルダーなど、さまざまな関係者との共創によって新たな価値を生み出すための活動を言います。
商品の価値そのものよりも、商品を通して得られる価値の体験が注目される昨今、企業とユーザーの共創によって得られる体験はまたとないものです。
技術や性能はすぐに共有されるため、差別化を図るには難しくなりつつありますが、コ・クリエーションによる差別化は自由度が高く、可能性は広がります。
コ・クリエーション戦略は、新しい時代の差別化手法として今注目を集めています。
コ・クリエーション戦略の重要性
コ・クリエーション戦略は現代において、なぜ求められているのでしょうか。主な理由を以下、3つの項目にて紹介します。
市場シェア率の変化への対応
新しいアイデアや技術がすぐに共有化されるようになり、資本と技術力で優位に立っていた大手企業は、スタートアップ企業にシェアを奪われつつあります。スタートアップ企業が提供する商品は、技術力が高いだけでなく、顧客の満足度を高めることにも対応している点も特徴的です。
また、業種の垣根を超えてあらたなシェアを獲得する企業も出てきています。
今後は、業界の枠を超えたシェア率の変化が起こるようになり、柔軟な対応が求められるようになるでしょう。
差別化を図るポイントの絞り込みはより重要さを増しています。
多様化する消費者ニーズへ応えるため
インターネットの普及が進むにつれ、ユーザーの嗜好は多様化が進みました。企業が行うテレビCMを見て、ユーザーが購入を判断する時代は終わりを告げ、ユーザーそれぞれが情報を獲得し、好きな商品やサービスを選ぶ時代へ移り変わっています。
これまでの企業発信によるマーケティングでは、ユーザーは離れていく一方でしょう。
コ・クリエーション戦略では、ユーザーとの共創が一つのテーマとなっているため、よりピンポイントにニーズに合致した商品やサービスを届けることが可能です。
顧客の経験を商品化につなげる
商品やサービスの開発に携わる経験はとても貴重なものです。商品の提供のみならず、顧客が体験する経験も合わせて商品パッケージ化することに、コ・クリエーションの強みがあります。
開発過程において、具体的にどのプロセスで参画できるのか、結果として体験出来ることなど、内容を明確にすることで、他社との差別化を図ることができます。
コ・クリエーション戦略の実例
顧客と企業のコラボレーションとも言えるコ・クリエーションですが、具体的な実例にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下、2つの点にて詳細を紹介します。
SNSを使った情報交換と共有
2016年にドイツのテレビ局「RTL II」が、大人気ドラマのウォーキング・デッドシーズン6の放送スタートにあたって、コ・クリエーションを活用したプロモーションを行いました。
内容は、Facebookが提供するライブ配信サービス「Facebook Live」を活用した、ユーザーと双方向のやり取りができるPR動画の配信です。
オランダ人ブロガーがゾンビが活動する地に迷い込んだという設定を設け、Facebook Liveの視聴者は、彼らが次に起こすアクションを6つのボタンから選ぶことができます。
ゲーム感覚で参加できるライブ配信の「Apocalypse Live」は、SNSで広く拡散され200万以上の視聴者数と、1億以上のリーチ数を獲得するに至りました。
空の器とも言われるSNSというプラットフォームは、コ・クリエーションとの高い親和性を持っています。インターネット上でのコ・クリエーションを実現するには、SNSの活用は欠かせません。
地域活動とコ・クリエーション
地方創生のための施策として、地域コミュニティでコ・クリエーションを採用した実例も数多くあります。
イノベーション東北は、東北のまちづくりや新規事業など新しいチャレンジに取り組む人たちと、挑戦を応援したい人たちでつくるマッチングプラットフォームです。
イノベーション東北の取り組みの一つに、福島のセンスとスタイルを伝えるために福島市の洋服店や眼鏡店などの情報を発信している「LIFEKU(ライフク)」があります。
LIFEKUが開発したアプリ「CO-FUKU」は、お店の人とお客さんをつなぐためのマッチングアプリのようなツールです。
開発にあたっては、お店で対面して、目の前の人にピッタリの情報をプレゼントする、というLIFEKUの姿勢がそのままあらわれています。
地域の人と、IT系ベンチャー企業、新しい挑戦を応援したい人の三者がうまく噛み合い、実現したコ・クリエーションの実例です。
コ・クリエーションのタイプ
コ・クリエーションは、大きく分けると以下2つのタイプに分類できます。
双方と共有
双方からの声とテーマの共有はコ・クリエーションの基本です。
双方からの意見と顧客からのフィードバックによって、商品やサービスへの多角的な視点を持つことができ、新しい価値の創出やアイデアにも繋がります。
また、テーマを共有した意見交換も大切です。意見交換の場は、企業や団体、政府などによるコミュニティ形成によって作られます。
一つのテーマを共有し、それぞれの立場から知識を用いて議論を交わし、新たな視点の獲得を目指します。
双方と共有において共通するポイントは、参加する企業、組織、ユーザーが等しく同じ視点を持つことです。立場は対等であることを忘れてはいけません。
連携
連携の関係は、企業同士が不足分を補いつつ新しい価値を生み出すためのコ・クリエーションです。
よく見られる企業の連携によるコ・クリエーションは企業買収や合併、提携です。双方の足りない部分を補うための積極的な連携はビジネスシーンにおいてよく見られます。
商品開発において、異業種とのコラボレーションもよくある事例です。
競合企業どうしでの連携は実現しにくいですが、少し遠い異業種の会社どうしであれば、コ・クリエーションの実例を確認することができます。
まとめ
コ・クリエーションは、技術のみで差別化が難しくなった現代のマーケットにおいて、新たに見いだされた差別化のスタイルです。
ユーザーとの共創によって提供できる体験は、商品としてのパッケージ化も可能です。また、企業とユーザー間のみならず、自治体や政府と組織、参加者などの間でも行われています。
企業からユーザーへの一方的な商品やサービスの提供から、企業がユーザーへ合わせる本来あるべき関係性に近づきつつあります。
コ・クリエーションはそんな現代においてかかせない活動です。