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カスタマー・エクイティとは?顧客を「資産」に変える戦略と事例を徹底解説

2024.10.9
企業にとって顧客には資産的な価値があります。そして、この価値を示す指標が「カスタマー・エクイティ」です。カスタマー・エクイティは、企業が経営の安定や成長を図るうえで非常に重要な指標です。しかし、ここまで読んで「カスタマー・エクイティについて全く理解できない」と思った方もいるのではないでしょうか。この記事では、カスタマー・エクイティの意味を、構成する3つの要素や向上させるために必要な具体的な施策とともに解説します。カスタマー・エクイティという言葉を初めて聞いた方にも理解しやすいように、わかりやすく説明します。向上事例も紹介しているので、これからカスタマー・エクイティを向上させたいという方もぜひ参考にしてください。

カスタマー・エクイティとは

カスタマー・エクイティとは、顧客1人1人が生涯にわたって企業にもたらす経済的利益の合計を指します。企業の成長や長期的な経営を安定させるうえで、非常に重要な指標となります。

定義と基本概念

カスタマー・エクイティは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす経済的利益の合計です。これは、企業にとって顧客には資産的な価値がある、という考え方に基づく概念の上で成り立っています。

顧客1人1人が企業にもたらす利益から、企業コストを差し引いたものが具体的な価値となります。

新規顧客と既存顧客のそれぞれの合計となるため、向上のためにはいかに新規顧客を獲得し、既存顧客の流出を抑えるかが重要です。

企業としての価値を高めることが、カスタマー・エクイティの向上にもつながります。

LTVとの違い

カスタマー・エクイティと似た言葉として、「LTV(顧客生涯価値)」がありますが、これらは対象とする範囲が異なります。

カスタマー・エクイティが企業全体の顧客の利益の合計であるのに対し、LTVは1人の顧客が企業にもたらす利益を指します。つまり、カスタマー・エクイティは全顧客のLTVの総和ともいえます。

カスタマー・エクイティとLTVは、どちらか一方を経営戦略の指標とするのではなく、ケースや目的に応じて参考にすることで、より効果的な戦略を実現できるでしょう。

カスタマー・エクイティを高める3つの要素

カスタマー・エクイティは主に3つの要素から構成されています。

効果的な経営戦略の実現にあたって、自分たちの企業がどの要素に焦点を当てる、もしくはどの要素に最も大きな影響力を持つかを明確にする必要があります。

企業によって焦点を当てるべき要素は異なるため、まずはそれぞれの要素について確認しておきましょう。

顧客価値

顧客価値は、製品やサービスに対して顧客が適正だと感じる価値を指します。顧客が製品やサービスを評価する基準は「品質」「価格」「利便性」の3つです。

「品質」:製品やサービスの品質が高いほど顧客の満足度が向上。

「価格」:高すぎず低すぎない適正な価格を顧客が評価。

「利便性」:製品やサービスの購入や利用がしやすいほど、顧客はその企業を繰り返し使いたくなる。

このように、顧客が客観的かつ合理的に評価するカスタマー・エクイティを顧客価値と呼びます。

ブランド価値

ブランド価値は、顧客が特定のブランドに対して持つ、感情的もしくは主観的な価値観を指します。ブランド価値には、製品やサービスの品質だけでなく、「ブランドロイヤルティ」「ブランド認知度」「ブランドイメージ」などが含まれます。

たとえば、スマートフォンといえば「Apple」と言われるように、認知度が高いブランドは製品の質を超えた付加価値の提供も実現しているのがブランド価値です。

このように、ブランド価値が高まると顧客は多少価格が高くても製品やサービスを購入することから、カスタマー・エクイティの向上にも非常に効果的です。

関係価値

関係価値は、顧客が特定のブランドや企業に対して、継続的に利用するかを判断するための価値を指します。これは、製品やサービスの品質を超えて、顧客と企業の間に構築される関係性が大きな評価基準となります。

たとえば、ロイヤルティプログラムや迅速なカスタマー対応・アプリでのパーソナライズ表示などは、顧客にとって魅力的です。

関係価値は「顧客満足度」「顧客エンゲージメント」「顧客推奨意向」などの指標に表れます。カスタマー・エクイティを高めるためには、製品やサービスの品質向上だけでなく、顧客との関係性も重要であることを覚えておきましょう。

カスタマー・エクイティ向上のための具体的な施策

カスタマー・エクイティ向上のための具体的な施策

ここまででカスタマー・エクイティの重要な3つの要素を解説しました。

企業の成長や安定的な経営につなげるためには、効果的な施策を実施する必要があります。

そこでここでは、カスタマー・エクイティ向上のために必要な具体的な施策を4つ紹介します。

顧客理解

カスタマー・エクイティを向上させるためには、まず顧客理解が必要です。顧客理解とは、様々な方法で顧客が求めるニーズを理解する取り組みです。

顧客理解は、アンケートや購入状況だけではなく、ECサイトやWEBサイトでのアクセスログ・メールやアプリの開封率やクリック率などオンラインでの行動も重要な指標となります。

これらのデータの解析によって、顧客が持つニーズのさらに深い部分を知ることができます。

また、顧客データが増えるほど傾向もわかりやすくなり、年齢や性別・地域ごとに異なるニーズの理解にもつながるでしょう。

顧客体験向上

カスタマー・エクイティ向上のためには顧客体験も向上させる必要があります。

顧客体験とは、顧客が製品やサービスを知って、購入・利用するまでの流れを指します。

顧客体験の満足度を上げるためには、製品やサービスの品質だけでなく、購入・利用に至るまでの全てのフェーズの質を向上させなければなりません。また、場合によっては購入後のカスタマーサポートまで必要になるケースもあるでしょう。

顧客はどれだけ高品質な製品やサポートを提供していても、自分の行動が妨げられると、すぐに離れてしまいます。だからこそ、顧客のフィードバックの結果からニーズや不満・課題を明確化し、迅速な対応を取ることで顧客の満足度は高まります。

また、既存製品に新しい機能を追加したり、新しいバージョンをリリースしたりすると、既存顧客のさらなる満足度の向上につながるでしょう。

関係性構築

顧客との関係性構築はカスタマー・エクイティの向上に非常に効果的です。

特に優良顧客との関係性が深くなると、継続的な利用や大きな利益をもたらすことができるため、カスタマー・エクイティの向上につながりやすくなります。

顧客との関係性の構築には、「ロイヤルティプログラムの導入」や「パーソナライズされたサービス」がおすすめです。顧客は自分だけの特別な待遇を受けると、満足度が一気に上がります。

ロイヤルティプログラムであれば、ポイント制度やランク特典、パーソナライズサービスであれば、誕生日月のクーポンなどが代表例です。

また、優良顧客に限定したイベントやコミュニティを作ることで、企業と顧客だけでなく顧客同士の関係の構築にもつながり、より一層強固な関係性を構築できるでしょう。

最新のツールや技術の活用

最新のツールや技術の活用によっても、カスタマー・エクイティの向上を期待できます。

企業が持つ顧客データは膨大であるため、1つ1つを解析することはできませんし、顧客1人1人の問い合わせに時間を割くこともできません。

そこで、デジタルマーケティングツールを利用することで、顧客管理やデータ分析の負担を軽減することができます。迅速かつパーソナライズされた対応によって、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

また、近年はAIなどのテクノロジーも急速に進化しています。データの分析や管理はツールに任せ、顧客対応や営業は人間が行うというような役割分担によって、より効率的なカスタマー・エクイティの向上が実現するでしょう。

カスタマー・エクイティの測定と分析方法

ここまででカスタマー・エクイティの概要や向上のためにすべき施策について解説しました。カスタマー・エクイティを向上させるためにはまず、自分の会社のカスタマー・エクイティを把握する必要があります。

ここでは、カスタマー・エクイティを向上させるうえで重要となる指標を解説します。個人でのカスタマー・エクイティの正確な測定は、なかなか難しい面があるため、デジタルマーケティングツールなどの活用がおすすめです。

重要となる指標

やみくもに製品やサービスの品質を上げたり、カスタマーサポートを充実させたりしているだけでは、カスタマー・エクイティは向上しません。顧客のニーズをしっかり理解し、それを満たすためには何が不足しているのか解析する必要があります。

顧客満足度調査

カスタマー・エクイティ向上にあたり、顧客満足度は非常に重要な指標となります。顧客満足度とは、購入した製品やサービスに対して顧客がどの程度満足したかを示す指標です。顧客満足度が高まることで、製品やサービス、また企業に対する顧客ロイヤルティの高まりにもつながります。

すると、顧客が企業にもたらす利益が大きくなり、カスタマー・エクイティも向上するというわけです。満足度は顧客の主観的な部分が大きくはなりますが、一般的にはアンケート調査を行い、その度合いを数値化して分析に使用します。

NPS

NPS(Net Promoter Score)という指標もカスタマー・エクイティの向上において重要な指標となります。

NPSとは、顧客がある特定の企業やその製品・サービスをどの程度おすすめしたいかを示す指標です。

NPSは顧客ロイヤルティの測定に非常に効果的な指標であり、多くの企業が導入しています。

測定はアンケート調査内の「知人や友人に商品やサービスをどの程度おすすめしたいですか」という質問に1~10などの数値で回答してもらう方法が一般的です。

解約率

カスタマー・エクイティを向上させたいのであれば、解約率という指標にも注目しましょう。

解約率とは、既存顧客のうち、ある一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標です。

顧客がサービスを解約する理由は、顧客体験に不満があるケースが多く、解約率が高い場合は分析や改善が必要になります。

また、製品やサービスに新鮮さがなくなることも顧客が離れる原因となるため、定期的に新しい機能の追加やバージョンのリリースに対応しましょう。

リピート率

リピート率の把握もカスタマー・エクイティの向上において重要なポイントです。

リピート率とは、新規顧客のうち、ある一定期間内に製品やサービスを再度購入した顧客の割合を示す指標です。

顧客は製品やサービスに満足していなければ再度購入することはないため、リピート率が高いと顧客ロイヤルティが高いと言えます。

分析ツールを活用しPDCAを回す

ここまでで解説した指標を一つひとつ正確に解析するには時間がかかります。そこで、分析ツールの利用がおすすめです。

分析ツールを利用すれば、顧客管理や分析・ロイヤルティの測定を自動で行えます。また、分析結果に基づいた経営戦略のサポートとしてもツールは役立ちます。

ツールによる正確な測定・分析によって、カスタマー・エクイティ向上のための施策もさらに効果的なものとなるでしょう。

ツールが得意なデータ管理や分析は全て任せ、人間にしかできない顧客対応や営業などに集中して、より効率的にPDCAを回していきましょう。

業界別カスタマー・エクイティ向上事例3選

ここでは業界別のカスタマー・エクイティ向上事例を3つ紹介します。

具体的な施策も解説していますので、カスタマー・エクイティ向上の参考にしてください。

小売業界

ECサイトAmazonや電子書籍リーダーKindleなどを展開する、Amazonは誰もが知っている企業です。

Amazonは迅速な配送サービスやカスタマーサポートの強化などにより顧客体験を向上させることで、カスタマー・エクイティも向上させました。また、パーソナライズされたサービスにより、顧客との関係性の構築にも成功させ、リピート率を高めています。

また、「Amazonプライム」という会員制度の導入によって、会員限定のクーポンや機能を提供し、顧客ロイヤルティを高め、安定的な利益につなげています。

金融業界

アメリカン・エキスプレスはクレジットカードの発行をはじめとした、個人金融サービスを中心に提供するグローバル企業です。

アメリカン・エキスプレスは、顧客に対する独自のポイントプログラムやサービスの提供によって、高い顧客満足度を獲得しています。

アメリカン・エキスプレスのクレジットカードは、高い年会費を支払ってでもそのステータスを手に入れたい人も多いと言われています。これはアメリカン・エキスプレスという、ブランド価値の高さの証明ともいえるでしょう。

SaaS業界

Salesforceは、クラウド型CRM「Salesforce」を提供するアメリカの企業です。

カスタマーサクセス(顧客の成功)を重視し、企業の生産性の向上と効率的な成長のサポートを行っています。

Salesforceの強みはパーソナライズされたサポートであり、企業専任のカスタマーサクセスマネージャーとの連携によって、企業との関係性を構築しています。

また、フォーラムなどコミュニティの形成によって顧客同士の関係構築もカスタマー・エクイティの向上の理由の一つです。

Salesforceユーザーは顧客のLTV を27%従来よりも向上させることができる※、といった顧客の成功事例の公開によっても、ブランド価値を高めています。

※参照:Salesforce

まとめ

この記事では、カスタマー・エクイティについて詳しく解説しました。

カスタマー・エクイティは、顧客1人1人が生涯にわたって企業にもたらす経済的利益の合計です。
企業の成長・安定的な利益を得るために非常に重要な指標です。

そのため、カスタマー・エクイティは正確に測定し、顧客のニーズを明確にしたうえで、経営戦略を実行しなければなりません。最新のデジタルマーケティングツールなどを活用して、効率的にPDCAを回していきましょう。

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