デジタルマーケティングファネルとは|基本的な考え方や種類を解説
2024.1.9本記事ではデジタルマーケティングファネルの意味や種類、活用のポイントなどを解説します。
目次
デジタルマーケティングファネルの基本
デジタルマーケティングファネルを活かすには、基本的な意味や浸透した背景の理解が重要です。デジタルマーケティングファネルについての理解度を深めることで、具体的なマーケティング施策の考案・実行に移行できるでしょう。以下では、デジタルマーケティングファネルの基本的概要について解説します。
顧客の行動過程を分析するフレームワーク
デジタルマーケティングファネルとは、顧客の行動過程を可視化して、分析するためのフレームワークです。ファネル(funnel)には「漏斗」という意味があり、図形にすると逆三角形の形になる点が特徴です。顧客が商品・サービスを認知してから、購入するまでの流れを可視化し、行動を把握する際に用いられます。
デジタルマーケティングファネルでは、購入までの流れのなかで、顧客の数はどんどん減少していくことが分かります。デジタルマーケティングファネルで可視化される各行動を分析することで、離脱する理由や購入に至る人の特徴を確認できます。
「AIDMA(アイドマ)」から発展した考え方
デジタルマーケティングファネルは、アメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏が1920年に提唱した「AIDMA(アイドマ)」が元になっています。AIDMAでは「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」といった5つの要素を軸に、購買行動を観察・分析します。
AIDMAによる顧客の心理プロセスを分析する方法を、さらに発展させたのがデジタルマーケティングファネルです。デジタルマーケティングファネルの浸透によって、より分かりやすい形で顧客の心理や行動が把握できるようになりました。
デジタルマーケティングファネルの種類について
デジタルマーケティングファネルには複数の種類があり、それぞれの方法によって把握できる内容や分析手法が変わります。以下では、デジタルマーケティングファネルの3つの種類について解説します。
パーチェスファネルとは
パーチェスファネルとは、見込み顧客に該当する消費者の行動を、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」の4段階に分類する方法です。各行動を逆三角形の図形に当てはめて、どの段階で顧客が減少しているのかを分析します。離脱した理由を把握して、コンバージョン率を高めるための施策考案などに活用されます。
パーチェスファネルは、AIDMAを基礎にした方法です。一般的にデジタルマーケティングファネルについて話す際には、パーチェスファネルを指します。
インフルエンスファネルとは
インフルエンスファネルとは、「継続」「紹介」「発信」といった3つの段階に分類したファネルです。パーチェスファネルとは異なり、正三角形の図形を使って表現されます。インフルエンスファネルは、インターネット上のレビューや口コミの発展によって生まれたフレームワークです。
SNSなどで顧客が発信する情報は、マーケティングにおいて重要なものとなっています。顧客に自社の商品やサービスを紹介・発信してもらうには、どうするべきなのか考える際に役立ちます。また、サブスクリプションやECサイトなど、継続した利用が求められるサービスの展開時にも活用されます。
ダブルファネルとは
ダブルファネルとは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせて使われるフレームワークです。2つのファネルを先端で結びつけた砂時計のような図形を使い、両方の面から顧客の行動や心理を分析します。
商品の認知から購入までの流れを把握しつつ、顧客が購入したものを紹介・発信してくれる方法を模索できる点が特徴です。2つのフレームワークを同時に利用できるため、効率よくマーケティング施策の考案・実行につなげられますが、専門知識や高度な分析力が求められるケースが多く、効果を引き出すのは難しいです。
デジタルマーケティングファネルを活用するメリット
デジタルマーケティングファネルを活用することには、企業に大きなメリットがあります。マーケティングの効果を高めたいけれど、具体的に何をすればよいのか分からないときには、デジタルマーケティングファネルの利用がおすすめです。以下では、デジタルマーケティングファネルを使うことで得られるメリットを解説します。
顧客行動の流れを明確にできる
デジタルマーケティングファネルは、顧客行動の流れを明確にできる点が大きなメリットです。顧客がどのような流れで、商品・サービスの購入に至るのかが客観的に理解できれば、それに合わせた対応が可能となります。
購入を諦めてしまう理由の把握や、購買意欲が落ちるプロセスの発見ができれば、マーケティングを改善に導けます。各段階における顧客の行動心理を考えて、「なぜそうなったのか」「どうすれば行動を変えられるのか」検討していくことで、デジタルマーケティングファネルのメリットを活かせます。
顧客の行動を踏まえたマーケティング施策が打ち出せる
デジタルマーケティングファネルを軸に分析を続けることで、顧客の行動を踏まえたマーケティング施策の考案・実施が可能です。デジタルマーケティングをはじめ、多くのマーケティング手法が商品・サービスの存在を支えています。
しかし、顧客行動を理解しきれず、理由なくマーケティング施策を選択していると、無駄なコストや時間がかかるデメリットが懸念されます。そこでデジタルマーケティングファネルを利用し、効果的なマーケティング施策を打ち出すまでの流れを構築して、効率化を進めることにメリットがあります。
多様化する購買行動に対応できる
デジタルマーケティングファネルは、多様化する顧客の購買行動に対応するための戦略としても役立ちます。インターネットやSNSの普及によって、顧客はさまざまな方法で商品・サービスの情報を入手できる時代になっています。結果的に購買行動が多様化し、分析の難易度が上がっている背景が企業の課題となっています。
そこでデジタルマーケティングファネルを利用し、購入までの顧客行動を簡単な形に分類して、分析しやすくすることにメリットがあります。デジタルマーケティングファネルを活用することで、顧客のニーズに合わせた情報提供が可能となり、結果的に良好な関係性の構築にもつながります。
デジタルマーケティングファネルを構築する方法・流れ
デジタルマーケティングファネルの施策を構築するには、基本となる方法・流れの理解が重要です。以下では、デジタルマーケティングファネルを構築するうえで必要となるプロセスについて解説します。
ターゲットのペルソナを設定する
デジタルマーケティングファネルを進める際には、まずターゲットとなる顧客の分析を実施します。顧客のペルソナを設定し、どのような特徴を持つ人物にアプローチしていくのかを考えます。ペルソナ設定では普段の生活スタイルや購買方法、商品やサービスの使い方など、細かな点まで詰めて想定します。
精度の高いペルソナを設定することで、デジタルマーケティングファネルを軸にした具体的な施策を考案しやすくなります。
顧客の消費行動を具体的なシナリオに落とし込む
顧客が実際に起こす消費行動を想定し、具体性のあるシナリオに落とし込むのもポイントです。ファネルの段階ごとにどのような消費行動が発生するのか、離脱につながる要因は何かといった点を、シナリオにして可視化します。シナリオという分かりやすい形にまとめることで、社内で情報を共有しやすくなります。
想定したシナリオに対して、自社が取れる最も有効なマーケティング手法も検討できるため、高い効果を引き出すことも可能です。また、カスタマージャーニーマップを用いて、顧客が自社にとっての優良顧客になるまでの流れをまとめるのも有効です。
デジタルマーケティングファネルの段階ごとにカスタマージャーニーマップを作成し、課題の言語化や顧客との接点を作るための施策を考案することで、最適な行動を導き出せます。
デジタルマーケティングファネルの構築を実行する
ペルソナ設定やシナリオ作成を通して、デジタルマーケティングファネルの構築に移ります。「認知」「興味・関心」の段階ではペルソナに合わせたプロモーションを実施し、認知拡大と顧客との接点作りを進めます。
その後、新規顧客の獲得を目指す施策や、コンバージョンを実現する方法を確立させ、顧客との関係性を継続するリテンションに力を入れていきます。また、インフルエンスファネルを軸にして、レビューや口コミによる情報発信につながる戦略を立てるのもポイントです。
デジタルマーケティングファネルが「古い」といわれる理由
デジタルマーケティングファネルは多くのシーンで活用されている一方で、「すでに古い概念である」といわれることも多いです。以下では、デジタルマーケティングファネルが古いと判断される理由を解説します。
複雑化する顧客の行動に追いつかないケースもある
現代の顧客は情報の扱いに慣れていて、独自の判断で取捨選択ができるケースも少なくありません。さらに複雑化していく顧客行動のパターンに、デジタルマーケティングファネルでは対応しきれないことも増えています。商品・サービスの発見に至るまでのプロセスも多様化しているため、従来の分析が通用しないこともあり得ます。
新しい技術やツールの開発によって、顧客行動はさらに複雑化する可能性もあります。将来的にデジタルマーケティングファネルだけでは、十分な分析と対応が難しくなるケースも想定されます。
BtoBにおいては重要性は変わらない
古いと判断されることが増えたデジタルマーケティングファネルも、BtoBのシーンではまだまだ有効活用されています。BtoBも時代に合わせて変化を続けていますが、根本的な購買プロセスや判断基準は大きく変わっていません。
BtoBにおいては、高額な商品・サービスの購入が多く、決裁権者の判断が求められるシステムがそのままである限り、デジタルマーケティングファネルは利便性の高いフレームワークとなるでしょう。
デジタルマーケティングファネルを有効活用するポイント
デジタルマーケティングファネルを有効活用するには、基本的なポイントの理解が必要です。以下では、デジタルマーケティングファネルを有効活用するために重要なポイントを解説します。
顧客が離脱する理由の分析に使う
デジタルマーケティングファネルは、顧客がなぜ購入せずに離脱してしまったのかを分析する際に活用されます。商品・サービスを認知し、興味・関心があるにも関わらず、購入しないケースも珍しくありません。デジタルマーケティングファネルを軸にすることで、段階ごとに購入者が減る原因を特定し、解決策を模索できます。
継続率の把握に活用する
商品・サービスの継続率の把握にも、デジタルマーケティングファネルが有効活用できます。どのような目的を持って継続利用しているのか、どんな顧客が継続して使うことが多いのかが分かれば、アプローチ方法を改善して継続率を高められます。
複数回の購入や長期契約が重要なサービスの提供時には、デジタルマーケティングファネルでの分析が重要です。
購買行動を可視化して成約率の高い施策を選定する
顧客の購買行動を可視化し、成約率の高い施策を厳選することも可能です。マーケティング施策は複数あるため、すべての方法を同時に実践することは現実的ではありません。そこでデジタルマーケティングファネルを活用し、成約に結びつきやすい施策を事前に把握して行動に移ることが求められます。
各フェーズで有効なマーケティング施策を考案する
デジタルマーケティングファネルで分類される各フェーズでは、有効となる施策が変わります。それぞれの段階で有効なマーケティング施策を考案し、的確に実行できれば、購入者の増加や継続率の向上などにつなげられます。1つの施策にこだわらず、フェーズごとに必要な手法に切り替えていく柔軟性を意識するのもポイントです。
自社コンテンツの改善・改革のきっかけにする
デジタルマーケティングファネルの理解と有効活用は、自社コンテンツの改善や改革を実行するきっかけになります。高い効果が見込めないことが分かっていても、具体的にどんな改善を施すべきなのか判断できず、時間だけが経過してしまう事例は多いです。
そこでデジタルマーケティングファネルという軸を取り入れて、自社コンテンツ全体を見直し、現代の顧客ニーズに合わせた形に変化させることが考えられます。既存コンテンツが古い場合や、新しいコンテンツを立ち上げる際には、デジタルマーケティングファネルの活用が推奨されます。
まとめ
デジタルマーケティングファネルは顧客の購買行動を可視化し、詳細を分析するために利用できるフレームワークです。パーチェスファネル、インフルエンスファネル、ダブルファネルといった各種方法を取り入れて、具体的な施策の考案につなげるのがポイントです。
マーケティングにおける打開策が見つからないときには、デジタルマーケティングファネルを学び、そのメリットを有効活用していくのがおすすめです。また、デジタルマーケティングを実行する際には、専門ツールを利用するのも重要です。
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