顧客の感情に訴えかけるエモーショナルマーケティングとは?具体的な手法も解説!
2024.6.13商品やサービスをより多く販売したり認知を広げたりするためには、消費者の感情を動かし、購買意欲をかき立てる必要があります。
企業や店舗でエモーショナルマーケティングを活用するために知っておくべきこと、メリットや具体的な手法を解説していきます。
エモーショナルマーケティングとは
エモーショナルマーケティングとは、感情に働きかけるマーケティング手法のことです。
お客様の感情に働きかけることで、「欲しい」という購買意欲を刺激します。
しかし商品の機能的な特徴を伝えるだけでは、購買意欲は動きません。
この手法では、商品のパッケージやキャッチコピーなどを工夫することで、消費者に与えるイメージをコントロールします。また心に響くストーリーを共有し、機能面ではなく感情面で購買意欲が上がるように刺激します。
つまり必要だという「ニーズ」よりも、欲しいと思う「ウォンツ」に焦点を当てていきます。
例えば青汁は、健康食品としてのイメージが強いので、機能性で訴求しているように見えます。
しかし青汁の広告では、機能性や味よりも「限定感」を前に押し出しています。
消費者は青汁の機能面と味を認識してはいるものの、すぐに買おうという強い購買意欲にはなりにくいです。
「初回限定価格」や「1家族3セットまで」というワードで背中を押して、購買行動に移させるという効果があります。
これが消費者の「すぐに欲しい」という衝動、購買意欲をかき立てているということです。
ニーズとウォンツ
マーケティング戦略の「ニーズ」と「ウォンツ」は、エモーショナルマーケティングを活用する上で理解しておいた方が良いでしょう。
基本的には「ニーズ」は目的で、「ウォンツ」は手段や欲求の心理を表すとされています。
解決したい課題があり、そのために必要なものや解決策がニーズです。
一方でウォンツは、ニーズを満たすための手段として捉えられることが多いです。
例えば「喉が渇いた」という課題があった時に、単純に「水分を補給したい」というニーズからは水やスポードリンク、お茶などが選択肢に入る可能性が高いです。
逆に「あの女優さんがCMをやっているこのお茶を飲んでみたい」というのは感情の入った非常に具体的なウォンツになり、特定の商品が選ばれる理由になります。
広告運用や商品設計を計画する上で、このウォンツを意識した戦略を立てることが重要です。
注意が必要なのは、安全性が重要な商品です。
例えば医薬品やベビー用品などには、効果や安全性の説明が十分でないと、不安に感じて購買を躊躇してしまう場合もあります。
そのような商品の場合は、エモーショナルマーケティングだけでなく、効果や機能性なども説明した上で、ウォンツとニーズ両方への訴えかけが重要になってきます。
メリット・デメリット
ここまでの説明で、エモーショナルマーケティングの概要をご理解いただけたかと思います。
以下では、エモーショナルマーケティングのメリット・デメリットを解説していきます。
メリット
まずはエモーショナルマーケティングのメリットを紹介します。
メリットは大きく2つあります。
①ファンの獲得
②購買行動を促せる
それぞれ詳細を説明します。
ファンの獲得
ブランドや商品のストーリーなど、感情的な部分で共感を得た消費者はファンになりやすい傾向にあります。
またそのような消費者は、積極的かつ継続的な購買行動、口コミ、SNSでの拡散も期待できるため、他の消費者への拡散も促しやすいです。
つまりこれにより、広告費を削減できる可能性もあるということです。
共感によってファンを獲得しやすいことは、エモーショナルマーケティングの大きなメリットになります。
購買行動に繋げやすい
感情に訴えかけることで直接的に「買いたい」という意志が生まれるため、購買に繋げやすいです。
例えばインフルエンサーを使ったエモーショナルマーケティングは相性が良い場合が多いです。
「憧れ」「センス」「話題性」など、すでに特定のターゲット層に向けた影響力のあるインフルエンサーの活用は、ターゲットさえずれていなければ成功しやすいと言えます。
デメリット
次にエモーショナルマーケティングのデメリットを紹介します。
デメリットは下記の2つです。
①万人受けは期待できない
②数字での評価が難しい
それぞれ詳細を解説していきます。
万人受けは期待できない
エモーショナルマーケティングは、特定のターゲット層へのアプローチは得意ですが、幅広く万人受けを狙うことは難しいです。
ある人には深く刺さる言葉や見た目でも、別の人には逆に不快に感じることもよくあるからです。
人の好みや感じ方には、ある程度の傾向はあっても、人それぞれ違うものです。
深い共感を得られるターゲット層に絞ることを基本とし、万人受けは期待できないことは覚えておきましょう。
数字での評価が難しい
エモーショナルマーケティングは、感情に対して働きかけるという特性上、その効果を数字で表すことが難しいです。
一般的にマーケティングでは、実施した広告や施策に対してデータを出し、分析して次の対策に進むものです。
しかしエモーショナルマーケティングが対象とする感情は数値化できないため、直接的な効果を測るのは難しいということです。
さらにブランドや商品イメージの変化には、ある程度長い期間がかかることも多いです。
エモーショナルマーケティングは長期的に大きな目線で計画を立てていきましょう。
活用の具体例
エモーショナルマーケティングでは、商品の機能性や必要性ではなく消費者の欲求を刺激することで、購買意欲をかき立てます。
技術が進歩してきた現代では、必要性を満たす商品やサービスが溢れているのが現状です。
その中で、決め手となる感情や欲求を感じさせることは非常に重要な戦略であると言えます。
ここからは実際にどのような手法があるのか、活用の具体例をいくつか紹介します。
キャッチコピー
商品の情報を伝えるだけでなく、インパクトのある言葉や短い文言で商品やサービスの特徴を言語化したものなどです。
消費者の生活シーンをイメージさせたり、自分ごととして感じてもらうようなキャッチコピーが有効とされています。
例①「一目で義理とわかるチョコ」/ブラックサンダー
引用:https://blackthunder.jp/item/
チョコレート菓子のブラックサンダーは「一目で義理とわかるチョコ」というキャッチコピーを使用しています。
バレンタインでは、本命だけでなく義理で渡す場面も多いですよね。
ブラックサンダーの手軽さを義理チョコとうまく結びつけた、利用シーンがイメージしやすいキャッチコピーの例です。
例②「そうだ 京都、行こう。」/JR東海
引用:https://souda-kyoto.jp/index.html
1933年に始まり、首都圏から京都への旅行客をターゲットにしているキャンペーンのキャッチコピーです。
思い立ったら気軽に京都に行って欲しいという思いとともに、新幹線ではそれができるということをアピールしています。
日常で話すような口調で表現されており、普段の会話に入り込みやすいキャッチコピーになっています。
パッケージデザイン
商品パッケージには、色や形、文字の大きさ、また挿し込む写真やイラストなどによって見た目のイメージが大きく変わります。
商品の魅力を、視覚的にイメージしやすくなることが特徴です。
例①「鼻セレブ」/王子ネピア
引用:https://e-nepia.com/products/hana-celeb/lineup.html
ボックスティッシュ「鼻セレブ」は、しっとりとした潤いのある肌触りが特徴で、風邪や花粉症の季節に何度も鼻に触れて擦れても肌を痛めにくくなっています。
鼻に優しい柔らかい質感を表現するように、ふわふわの動物の鼻がパッケージ中央に来るようなデザインを採用しています。
以前はシンプルなカラーと文字だけのパッケージで魅力が伝わりづらかったですが、ティッシュの質感をイメージしやすいパッケージにリニューアルし、売上は10倍にも伸びたそうです。
例②「明治 ザ・チョコレート」/明治
引用:https://www.meiji.co.jp/products/brand/the-chocolate/
これまで子ども向けイメージの強かった明治のチョコレートですが、デザインを変えて”大人の嗜好品”としての販売を狙って発売しました。
パッケージにはフレーバー毎に異なるのカラーとカカオのイラストを採用しており、高級感のあるデザインになっています。
素材へのこだわりと味わいを楽しめる商品の特徴がイメージしやすいパッケージで、新しい客層に向けたリブランディングの成功例となっています。
またInstagramを中心としたSNSの浸透により、写真映えするパッケージは投稿・拡散されやすいことも踏まえてデザインすると良いかもしれません。
キャラクター
顧客に愛される、ブランドや商品のオリジナルキャラクターを作ることもエモーショナルマーケティングの手法の1つです。
キャラクターの人気に比例して、商品の認知や購買に繋げていくことができます。
例①「ペコちゃん」/不二家
引用:https://www.fujiya-peko.co.jp/pekoroom/profile/
不二家の「ペコちゃん」は、1950年代に「ミルキー」のイメージキャラクターとして生まれて以来、全国で人気を博してきました。
テレビや雑誌などのメディアに取り上げられたり、限定グッズにはプレミアがつくこともあります。
他社とのコラボも多く、世代を超えて愛されるキャラクターの一例となっています。
例②「くまモン」/熊本県庁
熊本県のご当地ゆるキャラとして有名な「くまモン」は、2010年に誕生してから日本全国だけでなく、海外でも認知が広がっていきました。
著作権は熊本県にありますが、事前に申請すれば無料で使用できる仕組みのおかげで、熊本県に関連するさまざまな商品で活用されています。
またキャラクターはブランドや商品のイメージを広げるだけでなく、人気があればオリジナル商品で売上を作ることも可能です。
コアなファンが多いことも特徴で、ブランド構築の強力な柱になり得ます。
心理
見る人の心理を刺激する手法です。
消費者に限らず、人は何か禁止されていたり、謎に包まれているものは気になりますよね。
例①「シークレットソフトクリーム」/IKEA
引用:https://www.ikea.com/jp/ja/newsroom/range-news/20230830-halloween-fair-pub1f975720
IKEAの「シークレットソフトクリーム」は、消費者の好奇心をくすぐるマーケティング施策の1つです。
50円のソフトクリームは白色で普通のソフトクリームの味なのに対し、150円のシークレットソフトクリームは黒色で、何味か分からないというもの。
値段は3倍にもなりますが、分からないものは気になるという心理をうまく使った商品設計をされています。
例② 「見ないでください」/ゴウキブック(YouTube動画)
YouTubeのサムネイルやブログのタイトルに「見ないで」などのワードを入れることで、逆に見たくなってしまう心理を利用した手法です。
こちらの動画のコメント欄にも、「見ないでと言われたら見たくなる」などのコメントが多く寄せられています。
これら以外にも、中身の内容を記載せずに設置するガチャガチャなどもこの心理を利用した手法になります。
誘導したい方向をあえて禁止するような文言を使ったり、隠したりすることで、逆に見たい欲求が刺激される心理を利用することも有効です。
ユニークな商品
商品自体を個性的でユニークなものにすることで、商品自体が注目を浴びることを狙った手法です。
例①「蒙古タンメン中本」
引用:https://www.moukotanmen-nakamoto.com
「蒙古タンメン中本」は、辛うまラーメンを売りにするラーメン店です。
激辛ラーメンで有名ですが、その辛さが通常のラーメンでは味わえないダントツの辛さということで話題になりました。
激辛好きだけでなく、興味本位で行ってみる消費者も多く、コンビニでは中本が監修したカップラーメンも発売されるほどです。
例②「俺の」シリーズ/ファミリーマート
引用:https://www.family.co.jp/company/news_releases/2014/20140519_02.html
コンビニ大手のファミリーマートで発売されている「俺の」シリーズは、スイーツ好きの男性をターゲットにした商品です。
テーマは”ボリューム”、”控えめな甘さ”、”こだわりの素材”です。
男性ならではの需要に焦点を当てており、ユニークな商品名も相まって話題になりました。
他にはないユニークな特徴が話題となり、時にはSNSやユーチューバーで取り上げられることで、一気に消費者の興味をかき立てます。
しかし、ニッチすぎて消費者に受け入れられない場合もあるため、綿密に計画を立てて開発する必要があります。
まとめ
今回は、消費者の感情を動かすエモーショナルマーケティングについて解説しました。
WEBやSNSなどのデジタル領域が発達してきた現代には、必須のマーケティング手法と言えます。これからの時代に乗り遅れないよう、最新情報をアップデートして活用していきましょう。
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